ラビアさん北海道講演

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アムネスティ・インターナショナル 全国スピーキング・ツアー2007
私たちは、「テロリスト」じゃない。
~「反テロ」戦争と新疆ウイグルの人権~
 
甲斐 麗奈さん(仮名)からメールで頂いた北海道講演のレポートです。


会場は札幌エルプラザという合同庁舎の4階にある研修室で30~40人ぐらいの席があったのですが、私は早く着いたので、幸いにも前の席に座ることができました。始まりに近づいたときに後ろを見るともう満杯で、立っている方々もいました。開始時間は夜の6時半で、私が6時ごろ電車を降りて会場を探していると、だんだんと冷えてきて地面も凍り、外に出るのが嫌になる人が多いだろうと思い、どれぐらい来るのか心配でしたが、びっくりしました。
私が会場に着いたときには、Rabiye qadirさんはアムネスティーの方々と一緒にいらっしゃいました。小柄でやさしくきれいな方でした。彼女のその姿が自分の亡き母と重なり熱いものを感じましたが、涙ををこらえ、しっかりお話聞かなければと思いました。講壇には横断幕があり、そこには
 
元「良心の囚人」ラビヤ・カーディルさん講演 私たちは、「テロリスト」じゃない。~「反テロ」戦争と新疆ウイグルの人権~
 
とありました。それだけでも強いメッセージとして私の心に響きました。
講演はまずアムネスティーの方から簡単な説明があり、そして彼女が席を立ち、講演が始まりました。
 
「私はウイグル人です。ウイグル人には独自の言葉、文字、独自の文化があります。またウイグル人はイスラム教を信仰しています。そして広大な大地と豊富な自然資源もありました。しかし、今そのすべてが中国共産党の政策によって滅びています。この状態が続くと、後10年もしないうちに、ウイグルという民族はこの地球上から消えていくでしょう。私は今日この日本にウイグル人の人権侵害の実態を訴えにやってきました。
私たちの祖国は東トルキスタンといういくつかのトルコ系民族が長い間暮らしてきた土地であり、かつてシルクロードと呼ばれていた中央アジアの国です。しかし、1949年中国の侵略者が入ってきて、1955年「新疆ウイグル自治区」という名をつけて、それ以来ウイグル人の苦難の日々が始まりました。中国共産党の国家政策により漢人の集団移住が始まりました。かつて5%しかいなかった漢人が今では50%を超え、ウイグル人は90%以上だったのに今では50%以下となってしまいました。中国人が侵略してきてから、自治政府の当局によるウイグル人社会への締め付けは激しさを増しています。
ウイグル人への人権侵害はまず1954年のウイグル人の富裕層へからはじまり、「地主と資本家を打倒せよ」といって、地主と裕福な家庭の土地と財産を奪い取り、主人を投獄し、その家族をばらばらにして悲惨な状況に陥れました。その人数は何万にも上り、投獄された人たちには死刑から無期懲役刑など下され、その多くは牢獄で死んでいきました。そして1957年は知識人を対象に「右翼に反撃せよ」という名目でウイグル人の中の知識人を弾圧しました。その後もいろいろな名目で段階的にウイグル人の知識人、権力者、歴史家などなどの人々を弾圧し、酷い人権蹂躙を行なってきました。イスラム教を信仰するウイグル人に対し、非公認の宗教指導者を逮捕したり、宗教の自由を侵害したりしてきました。それでもウイグル人たちは自分たちの文化、習慣、宗教文字を守り、自分たちはウイグル人という誇りを持って耐えてきましたが、90年代以後中央政府の民族浄化政策はより一層厳しくなってきています。
東トルキスタンの豊富な資源の開発は中央指導の下、漢人によって行われ、その恵みはすべて漢人に持っていかれました。漢人とウイグル人の間の経済格差は広がり、ウイグル人には仕事がなく、若者たちは自分たちの将来に失望するようになりました。そして1997年2月5日イリで自分たちの現状を訴えるため、スローガンが書かれたプラカードしか持たずにデモを行っている若者を、政府は武力によって鎮圧しましたが、この事実は世界中に知られるようになりました。2003年2月5日ニューヨークで出版された中国語の「世界日報」で発表された記事によると、事件当日現場で銃殺されたデモ参加者は407人、失踪した人数は8000人、事件後に逮捕された人数は61000人、(実際デモ参加者人数は15000人~20000人だそうですが)とのことです。
2004年9月14日「新疆」の実質的トップである共産党書記で漢人の王楽泉は世界のメディアに対して、その年の1月から8月まで55人の政治犯に死刑を下したと自慢げに発表したそうです。これはあくまで正式発表したデーターで、この数字に入れてない死刑囚はどのぐらいいたでしょうか?中国共産党はうそつきの政党ですので、後は想像にお任せします。
中国政府はウイグル人をこの地球上から消し去ろうとして、いろいろな政策を打ち出しています。 9・11以後ウイグル人には「テロリスト・恐怖分子」というレッテルを貼り、行ってきた人権侵害、人権弾圧を正当化しようとしています。2003年から幼稚園から大学まですべて中国語を使うようにし、ウイグル語で教えている教師たちを学校から追い出し始めました。2006年から仕事を斡旋するという名目で16~25歳のウイグル人女性がウイグル以外の地方に連れて行かれ、奴隷労働を強いられたり、売られたりしています。このような政策によって我々から言葉を奪い、未来の母親となる女性たちを奪い、資源を奪い、土地を奪い、我々ウイグルという民族をこの地球上から消し去ろうとしています。
日本はアジアで一番強い民主主義の国であり、世界でも強い国です。どうぞウイグル人のことを助けてください。ここにきていただき、ご静聴いただきありがとうございました。」

約2時間の講演会は終わり、質問もありましたが、ラビヤ・カーディルさんはずっと立ったままでした。


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