食文化

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4.食文化 bookmark

 東トルキスタンの人々、特にウイグル人の食生活、料理などについて述べる。
 ウイグル人の食事は習慣として日に三度で、朝昼はナンとお茶程度で、夜に食事を作って食べる。現在では日中も食事を作って食べるようになってきた。偉い順にダスティハンと呼ばれる食布を囲んで座り、食事をとる。

ウイグル料理

(c)S.E.T.P,2007

 一般的に小麦や米を主食とし、肉類や乳製品を好む。料理の種類は多く、ナンやピラフ、麺類、まんじゅう、焼肉などがある。果物もよく食べ、ウリ、スイカ、ブドウ、リンゴ、ナシ、アンズ、ザクロなどが好まれる。肉は主に牛や羊、鶏やアヒルなどが食べられる。ブタや肉食動物、猛禽類、死んだ動物、血が十分抜かれていない肉などは、宗教的にタブーとされている。
  
チャイ(茶)
 東トルキスタンの人々に伝統的に飲まれてきたのが、チャイと呼ばれる茶で、よくミルク茶にして飲まれる。客が来たときには、まずチャイとナンが振舞われる。チャイに使われるのはカラ・チャイという紅茶であり、これにミルクを入れるのが一般的。民族や地方によっては、使用する茶や作り方、加える材料などが異なる。
 
ナン
バザールのナン屋
(c)East Turkistan Information Center

 ナンは日常の主要な食品であり、2千年以上の歴史がある。小麦粉を主な材料とし、ゴマ、タマネギ、卵、植物油、バター、ミルクなどが加えられる。さまざまな種類があり、使用する材料も豊富である。材料や製法、形状などによって名称も異なっている。
 もっとも大きいナンはヘメック・ナンといい、直径40~50cmもある。これを作るには大きいもので1~2kgもの小麦粉を必要とする。お祭りや結婚式のときに作られる。
 一番小さいナンはトカチ・ナンといい、直径10cm、厚さ1cm程度である。日常よく食べられる他、長期保存もできるため、旅行のときなどにもよく持っていかれる。伝説では唐僧が仏典を求めてゴビ砂漠を渡るときに携えたのがこのナンだったという。
 もっとも厚く中央に穴があいたナンをギルデ・ナンという。ウイグル人が好んで食べるナンで、表面は硬くパリパリし、中は柔らかくもちもちしている。
 
麺類

ラグマン

(c)S.E.T.P,2007

 小麦粉を使った麺類もよく食べられる。主なものにラグマン、ウグレ、スユクアッシュなどがある。
 なかでも、ラグマンはもっとも好まれて食べられる主食の一つであり、日本人の口にも良く合う。小麦粉に水と塩を加えた生地をこねたのち、しばらく寝かせ、手で伸ばして細くしていく。具は羊肉と野菜をトマトペーストで炒めて作り、野菜はその季節のものが使われる。この具を麺の上にかけて食べる。
 ラグマンは中央アジア全域で食べられているが、汁気が多く麺にこしがない西トルキスタンのものに比べ、東トルキスタンのものは麺に炒めたソースをかけ、麺にこしがあるという違いがある。
 
ポロ(ピラフ)

ポロ

(c)S.E.T.P,2007

 ポロはウイグル人の、もっとも人気のある伝統料理の一つである。賓客のためにこの料理が作られ、また冠婚葬祭などでも必ずといって良いほど作られる。
 ポロは香辛料、油、肉、米、タマネギ、塩が原料である。肉と野菜を炒め、その後米、水、塩を加えて40分ほど蓋をして蒸らしてできあがる。ポロに載せる肉は羊のほか、牛、馬、鶏、アヒル、ガチョウなどが使われる。
 ポロはお盆に盛られ、手づかみで食べられる。ヨーグルトや生野菜などで作られた冷菜と食べられることが多い。
 
カワプ

カワプとナン

(c)S.E.T.P,2007

 日本でもシシカバブという名で馴染みがある、羊の串焼きである。ウイグル族の伝統的な食べ物で、軽食として人気が高い。
 調理法は羊の肉と脂身を薄切りにして、脂身と赤みを交互に鉄の串に通し、唐辛子、塩、クミンを少々振りかけて、炭火で数分焼く。


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