東トルキスタンに自由と平和を


3.農耕と牧畜
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水の管理
 東トルキスタンは極端な乾燥と日射量により、水の管理が重要である。農耕は主にオアシス地帯で営まれてきた。オアシスは高山から平野への転換点となる、沖積扇状地上につくられたものが多い。
 扇状地の上部は水を得やすいが、大きな礫が多いため耕作には適していない。また下部(先端部)は土砂の粒度は小さいものの、地下水位が浅いため蒸発による塩類集積が起こりやすく、作物の栽培は困難である。そこで耕作に利用される土地は、扇状地の中央部に位置するものが多い。ここは地下水位が深いため、土壌の塩類集積が少なく、土砂の粒度も適度に小さくなっている。
 塩類集積防止のためには、地下水位を低下させることが有効であり、このために明渠や暗渠による排水、井戸の利用、深い根をもつ木の栽培などの対策が講じられてきた。
 農業用水としては河川水の利用が多く、これを小型のダムに貯水してから用水路に分水するなどして、農耕地への灌漑水路としている。
 地下水源の利用にも力が注がれており、特に有名なものとしてはトルファンのカレーズと呼ばれる地下水路がある。天山山脈の氷河の融解水は、トルファン盆地に入ると伏流水として地下を流れる。水量が豊富な山麓から直接集落まで流すために掘った地下水路がカレーズである。これは数十mごとに竪穴を掘って、そこから横穴を延ばしてつなぎ、長いものでは数十kmにも達する。トルファン盆地内には1000本近いカレーズが掘られている。

 しかし、漢族の大量流入、新疆建設兵団による土地の占有と集団農業化、鉱工業用水への転用、改革解放以後の経済効率のみの優先することなどによって、無制限な水利用が行われ、地下水が著しく減少した。カレーズは枯渇しかかっており、水質も悪化している。そして土壌表面は塩類集積が起こり、農地は荒廃しかかっている。飲料水の枯渇、農地の荒廃のために住民が移転せざるを得なくなった村もあり、放棄された村では砂漠化が急速に進行している。
 このように農耕地の立地と地力の維持、水源の確保など住民の努力によって築き上げられてきたものが、ここ数十年で破壊されつつある。

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