宗教への弾圧
東トルキスタンで起きている事 |
宗教への弾圧 |
計画生育という名の産児制限 |
不当な逮捕、拘禁、死刑 |
不当に拘禁されている留学生トフティ |
資源の強奪 |
民族浄化 |
民族工作の推移 |
2009年7月5日ウルムチ事件 |
2014年07月28日ヤルカンド事件 |
東トルキスタンから誘拐されスリをさせられる子供達 |
「弾圧について」のトップページに戻る |
宗教への弾圧 bookmark
中華人民共和国憲法 |
-------------------------------------------------------------------------------- |
・第4条 |
1.中華人民共和国の諸民族は、一律に平等である。国家は、すべての少数民族の適法な権利及び利益を保障し、民族間の平等、団結及び相互援助の関係を維持し、発展させる。いずれの民族に対する差別及び抑圧も、これを禁止し、並びに民族の団結を破壊し、又は民族の分裂を引き起こす行為を禁止する。 |
2.国家は、それぞれの少数民族の特徴及び必要に基づき、少数民族地区の経済及び文化の発展を促進するように援助する。 |
3.少数民族の集居している地域では、区域自治を実施し、自治機関を設置し、自治権を行使する。いずれの民族自治地域も、すべて中華人民共和国の切り離すことのできない一部である。 |
4.いずれの民族も、自己の言語・文字を使用し、発展させる自由を有し、自己の風俗習慣を保持し、又は改革する自由を有する。 |
-------------------------------------------------------------------------------- |
・第36条 |
1.中華人民共和国公民は、宗教信仰の自由を有する。 |
2.いかなる国家機関、社会団体又は個人も、公民に宗教の信仰又は不信仰を強制してはならず、宗教を信仰する公民と宗教を信仰しない公民とを差別してはならない。 |
3.国家は、正常な宗教活動を保護する。何人も、宗教を利用して、社会秩序を破壊し、公民の身体・健康を損ない、又は国家の教育制度を妨害する活動を行ってはならない。 |
4.宗教団体及び宗教事務は、外国勢力の支配を受けない。 |
以上のように中国は、憲法上では少数民族の権利と信教の自由とを保証している。
更に1984年には「民族区域自治法」を制定し、各民族の平等、各民族の文化言語、文字を使用し発展させる自由、すべての風俗習慣を保持しまた改革する自由、民族区域自治などを保証している。
2004年11月には、信教の自由を保証し、宗教活動を管理するという名目で、新しい「宗教事務条例」を出した。
これら国内で制定されている憲法・法律の他にも、中国は常任理事国を勤めている国際連合憲章にも、中国が締約している国際人権規約、人種差別撤廃条約などにも人権尊重と民族の平等が謳われている。
しかし、中国は自らが掲げる立派な「お題目」や国際的な条約などに対して、実行に際してはことごとく違反している。
その中でも特に宗教への弾圧について、ここでは取り上げる。
- チベット仏教は、ダライ・ラマを拒否し、中国への愛国心を持つように圧力をかけられている。僧侶や尼僧など180人以上が拘禁されており、恣意的拘禁や不公正な裁判が続いている。拘禁者の拷問・虐待も報告されている。また世界最年少の政治犯であるパンチェン・ラマ11世は6歳で就任直後、中国政府によって連行され行方が分からくなっている。
- 中国はバチカンの教皇庁を全く無視して、自分たちに都合の良いカトリックの司祭を独自で任命している。中国当局から認められていない、未登録の聖職者40人以上が現在も拘禁されていると見られている。なお中国政府は教皇庁との交渉を始めるにあたっては「司教の選定を諦めて、台湾と断交する」ことが前提であると主張している。
- イスラム教への制限は他の宗教に比べても特に厳しい。特にウイグル族の扱いが酷い。全てのモスクは「中国イスラム協会」に登録されなければならず、聖職者でイマム以上は当局からの許可が必要であり、定期的な愛国教育を受けなければならない。 更に2007年より、メッカへの巡礼を阻止するためにムスリム、特にウイグル人のパスポートが没収されている。
- 中国政府による、未許可のプロテスタントグループへの嫌がらせと抑圧も続いている。当局に許可をもらっていない、個人宅で集会をした人々数百人が逮捕されたと見られる。
- 「邪教組織」として1999年7月に禁止された法輪功に対する弾圧がさらに強化されている。修行者数万人が拘禁されており、信仰を放棄しない限り拷問・虐待を受ける恐れがある。「邪教組織」とされてから既に1000人を超える犠牲者が出ていると言われている。
中国は建前上、法規や制度を設けてはいるものの、それ以上に政策が優先されることから、実行の段階で骨抜きになっている。また取り締まる側でも、遵法の意識が希薄で恣意的な援用が行われており、信教の自由と言ったところで、当局の気まぐれで許可されたり処罰の対象になったりするような自由なのである。
東トルキスタンで行われている宗教弾圧 bookmark
現在東トルキスタンの学校では、宗教の祭日を祝うこと、宗教のテキストを学ぶこと、宗教的な衣装をまとう事などが禁止されている。また18歳以下の者にはモスクへ入ることも、自宅で宗教教育を受けることすら禁止されている。また当局によって、誰が聖職者になれるか、どの版のコーランを使用して良いか、催事でどのような内容を話してよいか、などが厳重に監視されている。
文革の時期には多くのモスクが閉鎖され、聖職者も逮捕されるなど、宗教的に最悪の受難の時期であった。文革終了後、徐々に改善されつつあったが、90年代中頃から再び数百のモスクが閉鎖に追い込まれ、イマム以上の聖職者は中国当局からの許可制となり、その免許の更新には毎年の愛国教育を受けることが必要とされている。
もしこれらの宗教的取り決めに違反した場合には、職場などから追放、罰金、トウ案(ブラックリスト)への氏名追加、家族への嫌がらせ、拘留、労働矯正などの行政処分が待っている。
結局、中国政府の目的は、国家の許可なしに宗教団体が宗教活動をすることを困難にさせることと、許可した場合であっても、その宗教団体を自らの監視下に置くことである。
ソ連の崩壊と中央アジアの独立があった1990年代中頃から、イスラム教への弾圧が強められた。中国全土で通常犯罪に対して行われるべき「厳打」キャンペーンが、ここ東トルキスタンに於いては、宗教への弾圧の手段として用いられている。ウイグル人の「宗教活動」=「分離主義運動」であるとみなし、「厳打」の対象であるとされている。
ウイグル人の宗教活動に対しての締め付けは、他の民族に比べて厳しくなっている。これは他の民族、カザフ、タジク、ウズベク、モンゴルなどは既に中国の外に自民族の国家があることから、それほど民族独立主義的な志向がないと見られているためである。
イスラム教は、彼らテュルク系諸民族のアイデンティティのうち、かなり重要な位置を占めている。よって、中国政府からの弾圧は、彼らからしてみれば単なる宗教への弾圧に留まらず、自らの存在を否定されるかのような脅威を抱かせるものになっている。